無申告の場合の加算税~確定申告し忘れに注意!~

個人事業主の場合、年明けから3月15日までの間に確定申告を済ませる必要があります。

何年も確定申告をご自身でされている方にとっては普通のことですが、会社を辞めて新たに個人事業主として活動されている方や、副業を始めた方は不安に思われるかもしれません。

確定申告を失念した場合、ペナルティが発生します。今回は、無申告であった場合のペナルティ(加算税)について説明します。

 

1. 無申告で加算税が発生するケースとは?

「無申告」とは、広義には、確定申告義務のある人が、期限までに税務署へ確定申告書を提出していない状態をいいます。

提出の遅れ、失念(過失)、意図的な未提出等、状況によって様々な「無申告」がありますが、このうち、ペナルティである加算税が課されるのは、納めるべき税金がある(=利益が出ている)場合です。

2. 加算税の種類

加算税にはいくつかの種類があります。

(1) 無申告加算税

自ら期限後申告をした場合や、税務署から所得金額の決定処分を受けた場合で、納めるべき税金がある場合に課されます。

課税額は状況により異なりますが、納めるべき税額に加え、その5%から20%を追加で払う必要があります。

自ら期限後申告した場合 納付すべき税額×5%
税務調査等で発覚した場合 50万円まで 納付すべき税額×15%
50万円超 納付すべき税額×20%

なお、無申告加算税は、次の3要件を全て満たす場合には課されません。

  • 申告期限から1月以内に申告していること。
  • 納付期限までに納税が完了していること。
  • 過去5年間は期限後申告をしていないこと。

申告書の提出がギリギリ間に合わないような状況であれば、期限内に納税をして、その後早めに申告書を提出するのも一案です。

(1)その期限後申告が、法定申告期限から1月以内に自主的に行われていること。

(2)その期限後申告に係る納付すべき税額の全額を法定納期限(口座振替納付の手続をした場合は期限後申告書を提出した日)までに納付していること。

(3)その期限後申告書を提出した日の前日から起算して5年前までの間に、無申告加算税又は重加算税を課されたことがなく、かつ、期限内申告をする意思があったと認められる場合の無申告加算税の不適用を受けていないこと。

国税庁HP

 

(2) 重加算税

所得を隠して税金の納付を避けるためにわざと申告していないなど、税務署から悪質と判断された場合は上記の「無申告加算税」ではなく、「重加算税」が課されます。

悪質なケースのみに課される加算税であるため、自ら期限後申告をした場合に適用される可能性は低く、ほとんどは、税務調査等での指摘で無申告が明らかになった場合に適用されます。

意図的な無申告で悪質と判断された場合 納付すべき税額×40%

 

(3) 延滞税

延滞税は、法定納付期限までに支払うべき税金を納付していない場合に課されます。

また、期限内に申告をしたとしても、期限後に修正、更正または決定の処分を受け、納めるべき税額が不足していた場合にも発生します。

延滞税の税率は、原則、以下の通りとなりますが、計算される年度ごとに異なるため、詳細の計算はお問い合わせフォームからご相談ください。

納期限の翌日から2月を経過する日までの期間 納付すべき税額×7.3%
2月を経過する日の翌日以後 納付すべき税額×14.6%

 

3. 加算税以外のペナルティ

ここまでは加算税について紹介してきましたが、無申告の場合、加算税以外にも以下のようなペナルティが発生します。

(1) 青色申告の取り消し

2年連続で申告期限内に申告することができず期限後申告をした場合は、青色申告の承認が取り消されてしまいます。

青色申告には赤字を翌年以降に繰り越すことができ、所得税では65万円の特別控除などのメリットが複数ありますが、青色申告がいったん取り消されてしまうと、1年間は再申請ができなくなります。

よって、再び青色申告の適用を受けることができるのは、最短でも2年後(翌々期)になってしまうため、注意が必要です。

 

(2) 青色申告特別控除が使えない

所得税における65万円の青色申告特別控除は、期限内に申告をした場合にのみ適用できる制度のため、青色申告者が期限後に申告をした場合には控除額は10万円になってしまいます。

 

(3) 銀行等からの融資に悪い影響が出る可能性がある

融資の審査の際に過去2年分の確定申告書をリクエストされることがありますが、確定申告書には税務署へ受領された日付(電子申告の場合は電子申告日)が記載されています。

融資の担当者も期限内に正しく申告されているかは必ず確認する項目であり、期限を守らない人には銀行もお金を貸したくないと考えますので、なぜ期限後申告になったのか説明できるようにしておきましょう。

 

おわりに

ここ最年はコロナ禍で確定申告書の提出期限が延長されていましたが、これはいつまでも続くものではありません。

「今年も申告期限が延長される」と勘違いをして確定申告の準備を進めていると、申告期限に間に合わなくなり、「無申告」として期限後申告を行うことになってしまう可能性があります。

今回の解説をご参考にしていただき、無申告のリスクをしっかり理解したうえで期限内に確定申告を行うようにしていただければ幸いです。
また、無申告の年度がある場合はすぐに申告しましょう。

スペラビ税理士法人では、無申告の年度がある法人や個人の期限後申告もサポートしていますので、該当する方はお早めにご相談ください。

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