- 山下先生は、公認会計士、税理士、社会保険労務士のトリプルライセンスと伺っています。独立後は、税務業務だけでなく会計監査業務も実施されていたそうですね。これまでのご経歴を教えていただけないでしょうか?
山下忠治 私は、大学を卒業後、公認会計士として昭和33年に大島事務所に入所しました。入所後は、主に一部上場会社の会計監査に従事していました。
一通り監査実務を学んだ後、税理士登録した昭和41年に八重洲5丁目に事務所を構え独立。独立後は、上場化学系会社の監査業務等を行いながら中小企業の税務顧問先を拡大していきました。社労士の資格も有していましたので、社保の届出業務も行っていました。
左上が所長時代の山下忠治先生。左下は事務所の看板。裏には先生の仕事におけるモットーが記されている。
-今回の事務所統合にあたっては息子の幸治さんが音頭を取って進められたと伺っています。どういった背景があったのでしょう。
山下幸治 父は高齢ですが、現在も元気に税理士業務や趣味(小説書き)を続けています。ただ、今後の体調などを考えますと、万一にも顧問先に迷惑をかけるわけにはいかないと思い、知り合いの仲介業者さんに相談し、統合候補先を探していただく事にしました。
-お互いの決め手は何だったのでしょう?
山下幸治 何よりも重視したのは、これまでと変わらずサービス提供できることです。
事務所を統合するとはいえ、顧問先様や従業員が不安になってはいけない。仲介業者さんにはいくつかの事務所をご紹介いただきましたが、スペラビさんが、最も自主性と責任感のバランスが整っていると感じました。
2つ目は、『仕組み化』や『電子化』、『(大企業グループもカバーできる)ノウハウ』です。
私たちの事務所は、ベテランが多いため品質の安定性には自信があったのですが、『仕組み化』や『電子化』といった面では後れを取っていました。また、父が第一線を退いた場合、大きい会社への対応に関する知見が減ってしまう懸念もありました。
この点、スペラビさんは、初めての面談の際にも『仕組み化』や『電子化』を重視していると仰っていましたし、現に、今も2週間に1回はPMI(Post Merger Integration 事業統合に向けた活動)ミーティングを通じて、そうした手法の共有を進めています。
また、スペラビさんには、Big4系会計事務所で実務経験を積んだ方が複数いらっしゃいますので、山下会計の課題をうまく補えると感じました。
-安藤先生の方は如何ですか?
安藤 我々も大きく2点あります。
1点目は、幸治さんのお話とも重複するのですが、円滑な業務の引継ぎです。
(山下忠治)先生が引継ぎ完了後に引退するご意向であることは分かっていましたので、私たちとしては、山下会計事務所のメンバー全員が残留して頂けること、そのうえで、担当顧問先の対応を問題なく行えることが必要と考えました。
2点目は、シナジーの創出です。東京の城南地区という地理的な面ももちろんですが、それ以上にサービス面で私たちに無い強みを持っている事務所さんと組むことで、私たちの既存顧問先にもメリットを感じられたらと考えました。
-その辺り、是非具体的に内容をお聞かせいただけますか。
安藤 まず1点目ですが、今にして思えば、最終的な決め手になったのは、幸治さんが「顧問先の引継ぎは100%可能です」と力強く仰って下さったことだったと思います。
デュー・デリジェンス(以下「DD」という)の段階では、従業員の皆様全員が継続して働いて頂けるか、顧問契約がちゃんと引き継げるか、完璧に知ることはできません。統合案件は秘匿性が高いですし、DDで最善を尽くしても全てを完璧に把握するのは不可能です。
その意味で、相手がどれだけ自信を持っているか、そして、相手の言葉をどれだけ信頼できるか。幸治さんの前述のご発言は大変心強く感じました。
2点目に関しては、『相続税』対応が挙げられます。山下会計は相続税を年間相応件数こなしており、これは私たちに無い強みとして魅力に感じました。
私たちスペラビ税理士法人は『事業が50年、100年続くサポート』を経営理念としています。事業が長く続くには、個人よりは法人であるべきと考え、顧問先も必然的に個人ではなく法人が中心です。経営者も比較的若い方が多いため、これまでは親族内承継である『相続』の相談を受けることはほとんどありませんでした。
一方で、私たちも、規模拡大につれてそうした相談がスポットで舞い込んでくるようになりました。今回、山下会計と統合することで、そうした相談案件を積極的に取り込めるようになったと感じています。
-スペラビさんは、親族”外”承継であるM&Aや事業承継のアドバイスはこれまでもされてきたと伺っています。
今回、親族”内”承継のサービスが強化されたことで、事業をより長く続けるためのサポートの選択肢が増えたということですね。
渋谷のスペイン料理店で開催した市ヶ谷オフィスと目黒オフィス(旧山下会計)メンバーの懇親会
-最後に、安藤先生の方から、事業承継や退任を検討してお悩みの先生方に一言ずつお願いします。
安藤 中野先生の記事とも重複しますが、早めにご相談頂けるとありがたいです。今回は、山下幸治さんはじめ担当クラスの方が顧問先への挨拶を段取りよく調整してくださいましたが、顧問先の引継ぎでは何が起こってもおかしくありません。
早ければそれだけ様々な選択肢も検討できますし、顧問先の引継ぎで問題が発生してもリカバーできる可能性が高まります。
また、私たちと親和性があるのは業歴のある事務所様だけではありません。
例えば、これまでは一人税理士として活動してきたけれど今後は法人として活動したい方や、後継者として指名されたものの所長をするのは不安なのでどこかと合流したい方とも親和性があると考えています。
是非、お気軽にお問い合わせいただければと思います。