無申告で重加算税が課税されるケースとは?

無申告者に申告しない理由を聞くと、まわりの経営者たちから「少しぐらいならバレないから大丈夫」と聞いたなど、他人の意見をそのまま鵜呑みにしていることがあります。

しかし、税務署は税金徴収のプロフェッショナルですから、本気を出せばほとんどの無申告はバレます。さらに、このような「故意に申告していなかった場合」は、税務署から悪質と判断され、「重加算税」が課税されることもあります。その税率は40%です。

他人の言葉を鵜呑みにして申告していなかったとしても、無申告がバレたら税金を納めるのは「あなた」ですし、最悪の場合、無申告期間の税金と重加算税等のペナルティが大きな金額となって、投資に必要な資金がなくなったり、事業継続ができなくなったりすることもあるでしょう。

 

無申告のリスクを正しく理解するためには重加算税について知る必要があります。

今回は重加算税に特化して、内容や課税されるケースを紹介します。

 

1. 重加算税とは

 

「重加算税」の紹介の前に、まず、「加算税」とは何かを説明します。

加算税とは、本税(本来納めるべき税金)に追加で課される税金であり、簡単に言えばペナルティです。加算税には、期限内に申告したが税額が過少だったことによる「過少申告加算税」や、期限内に申告できず期限後申告をした場合の「無申告加算税」などがあります。

加算税は、期限内に正しく申告納税している納税者と差を設けて経済的不利益を課すことで、納税義務違反の発生を防止し、租税収入を確保することを目的としています。

https://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/kenkyu/ronsou/68/04/index.htm

 

しかし、過少申告や無申告の納税義務違反の中には、売上をわざと過少に申告することや、申告義務があることを認識しているにも関わらず申告していないような悪質な不正行為も存在します。

 

そのような悪質な不正行為は通常の加算税に代えて、より重いペナルティである「重加算税」が課税されます。

 

ペナルティ 課税される要件 税率
無申告加算税 申告期限後に申告した場合や税務署から決定処分があった場合 15~20%
過少申告加算税 期限内に申告した内容について、修正申告・更正があった場合 10~15%
不納付加算税 源泉徴収等による国税について、法定納期限後に納付・納税の告知があった場合 10%
重加算税 悪質な不正行為(仮装隠ぺい)があった場合 【過少申告加算税・不納付加算税に代えて】

35

【無申告加算税に代えて】

40

https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/tins/n04_3.pdf

 

無申告が悪質と判断されて重加算税が課税されてしまった場合は、合計で通常の納税額の1.4倍の税金を納める必要があります。

さらに、期間に応じて課税される延滞税も納税する必要があるため、無申告の重加算税が課される場合には、資金繰りが窮地に立たされることが多いです。

 

2. 重加算税が適用されるケース

重加算税は悪質な不正行為である仮装隠ぺいがあった場合に課税されますが、具体的には以下のような事実が「仮装隠ぺい」に該当します。

  • 二重帳簿を作成していること
  • 帳簿、原始記録、証ひょう書類、その他決算に関係のある書類の破棄又は隠匿していること
  • 帳簿書類の改ざん、帳簿書類への虚偽記載、相手方との口裏合わせによる虚偽の証ひょう書類の作成していること
  • 売上や営業外の収入の計上もれ、棚卸資産の除外をしていること

https://www.nta.go.jp/law/jimu-unei/hojin/100703_02/00.htm

 

上記に記載した事実以外にも、悪質な仮装隠ぺいと認定される事実がある場合には重加算税が課税される場合があり得るため、申告書作成や日々の帳簿作成は正確に作成するようにしましょう。

 

3. 無申告の場合に重加算税は課税される?

無申告は納税義務を不正な手段で逃れているため、悪質な不正行為というイメージがあると思います。

確かに不正な手段で納税を逃れていることは悪質ですが、重加算税が課税されるかは無申告の経緯や内容によって決まります。

つまり、無申告の申告すべてに重加算税が課税されるわけではないのです。

 

無申告期間の申告をする経緯は以下の2パターンがあります。

①税務署から無申告期間について連絡があってから申告する

②税務署から連絡が来る前に、自主的に期限後申告として申告する

 

このうち、①のケースは重加算税が適用される可能性が増すため注意しましょう。

税務署から過年度に無申告期間があったことについて連絡が来ると、その無申告期間の税務調査が実施されて内容を精査されます。

その税務調査では過去5年分を見られるケースがほとんどですが、経験上、無申告だった納税者の多くは5年分の領収書等をしっかり保存していなく、一部(又は大部分)を破棄してしまっています。

 

本来、無申告期間の申告書作成のためには、破棄した資料の再発行手続きなどをすべきですが、税務署から指定された期日までに申告書等の資料を準備する必要があるため、時間的に厳しいことも多いです。

その結果、税務調査時には資料の準備は間に合わず、2章に記載した「書類の破棄」に該当するとして、重加算税を課税される場合があります。

 

なお、領収書の破棄などを隠すために、税務調査官に対してウソの回答をすることは絶対にやめておきましょう。
相手は税金徴収のプロです。ウソを見抜くのこともプロですし、バレれば仮装隠ぺいとして認定されやすくなってしまいます。

 

なお、領収書等をすべてしっかり保管していないと必ず重加算税が課税されるというわけではないので、無申告期間について税務署から連絡があった場合はすぐに税理士へ相談しましょう。

 

無申告期間の重加算税の課税リスクを軽減する方法はただ一つ、「②自主的に期限後申告として申告する」を選択することです。

 

自主的な期限後申告はなるべく早めに提出したほうがいいものの、具体的な提出期限はありません。

裏を返せば、無申告期間の領収書や請求書などの基礎資料をしっかり準備した状態で申告書を作成することができます。

このように申告書の数字の根拠を正しく把握していると、提出した申告書について税務署から質問があったとしても根拠を用いて説明することが可能です。

つまり、仮装隠ぺい行為は一切ないため、重加算税が課税されるリスクは限りなくゼロに近いでしょう。

 

もし無申告期間がある場合は、重加算税の課税リスクを軽減するために、すぐに資料を揃えて自主的に期限後申告をしましょう。

 

おわりに

今回は重加算税について紹介しましたがいかがでしたでしょうか。

重加算税は形式的な要件ではなく事実認定で課税されてしまうため、無申告期間がある方はすぐに資料を揃えて自主的に申告することにより、仮装隠ぺいの事実はないことを主張できます。

もし、無申告期間について税務調査が入ってしまった場合は、すべて把握されていると思って隠すことは一切せず素直に申告しましょう。

なお、無申告期間の申告書作成は資料を破棄してしまっているなど、通常の申告書作成とは異なるため、税理士へサポートを依頼することをおすすめします。

税務調査現場での受け答えも重加算税の課税リスクにつながることから、税理士のサポートの有無で納税額が大きく変わることがあります。

 

スペラビ税理士法人では、これまでの経験を基に、法人及び個人の無申告期間の期限後申告や税務調査対応をサポートします。

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