昨今、成果主義的な報酬制度の導入や副業の増加等により、これまで確定申告に馴染みの無かった方々に「確定申告義務」が生じる可能性が高まってきています。
「確定申告義務」が生じていながら確定申告をしていないと、「無申告」という取扱いになってしまい、発覚した際には本来納めるべき税金以上の金額を納めなくてはなりません。
「少しぐらいなら申告しなくてもバレないのでは?」
そう思っている方は要注意です。無申告の状態は必ずと言っていい程バレるものと思っておいた方が良いです。
今回はどのように無申告がバレるのかについて紹介していきます。
1. そもそも確定申告が必要な場合とは?
フリーランスであれば毎年確定申告は当たり前ですが、会社員の場合、確定申告に馴染みのない方がほとんどでしょう。
なぜなら、会社が年末調整によって毎年の税額を確定させてくれるため、会社員は基本的には確定申告をしなくて済むからです。
ただし、会社員であっても、例えば以下の場合には確定申告をしなければなりません。
(1)給与の年間収入金額が2,000万円を超える方
本業からの年間収入金額が2,000万円を超える場合は会社における年末調整の対象外となるため、ご自身で確定申告をする必要があります。
(2)副業利益の合計額が20万円を超える方
本業の会社からの給与以外に、副業としての利益が20万円を超える場合は確定申告が必要になります。
ここでいう副業とは、事業規模ではない、いわゆるお小遣い稼ぎ程度のせどりやアフィリエイトなどのほか、仮想通貨やFXなどの投機も該当しますのでご注意ください。
(3)2か所以上から給与を受けていて一定の収入がある場合
最近は2か所以上の会社から給与を受けていている方も多いですが、ダブルワークの方も要注意です。
例えば本業以外に、土日はアルバイトをしている方が対象となります。
年末調整はどちらか一方の会社でしかしてくれませんので、メインでお勤めの会社の給与収入が20万円を超える方は確定申告の対象となります。
一方、確定申告義務が発生していることは理解していても、「(今回だけだし/ちょっとだけだし)まあいっか」となっている方も中にはいるのではないでしょうか?
このような場合、バレたときには追加で納税を迫られてしまい、そこで納税ができなければ更なるペナルティもあります。
ここからは「どんな時に無申告がバレるか」、紹介していきます。
2. 無申告はどのようにバレる?
税務署はほかの行政機関との連携などによって膨大な情報を持っているため、日々、様々な方法で税金の徴収もれを探しています。
その中で一般的には以下のような経緯で無申告がバレることがあります。
(1) 支払調書
支払調書とは、主に法人が「誰に、どのような内容で、年間いくら支払ったか」を税務署へ報告するための書類です。
会社は基本的には支払調書の作成が義務付けられていますので、あなたが副業として「会社」から収入を得ている場合は、その「会社」経由で税務署へ報告が行く仕組みになっています。
税務署は提出された支払調書から、誰が、いくらの報酬を受け取っているか把握できるため、副業としてライティングや講師など支払調書の対象となる報酬を受け取っている場合は、税務署もその情報を持っていると考えておきましょう。
(2) 銀行口座の動き
税務署は個人や法人の銀行口座を確認することができます。
最近では、仮想通貨の高騰により多額の売却益を獲得した個人へ税務調査が入ることが多いと言われていますが、突発的に多額な入金がある場合は必ずと言っていい程税務署はその情報を抑えています。
銀行口座の入出金は「税務署が本気を出せばいつでも閲覧可能」ということは理解しておきましょう。
(3) 取引先に入った税務調査
税務調査では、その個人や会社の税金が正しく計算されているか調べるために会計帳簿を確認します。
その会計帳簿には経費の情報として会社が支払ったお金に関する情報が記載されているため、税務署はその会計帳簿に記載されている相手が正しく申告していないときは無申告であることをすぐに把握できます。
(4) 税務署へのリーク
国税庁は、随時リーク情報を募集しています。
「そんな情報をリークする人なんていないでしょう」と思う人もいるかもしれませんが、ひょんなことから妬まれて、税務署にリークされてしまうケースもあります。
同業者などとの会食で申告や納税していないことを自慢気に話している方は注意しましょう。
国税庁が公表しているリークされた情報の例は以下の通りです。
これまで提供を受けた情報の例
・租税回避スキーム(節税商品や特定の取引手法を利用した租税回避など)に関する情報やその組成・販売をしている者又は利用をしている者に関する情報
・虚偽の売上金額(収益)や必要経費(費用)に基づく経理等により、不当・不正に所得金額等を低く(又は還付税額を多く)申告している者及びその手口の情報
・事業が活況を呈するなど、申告する必要があると考えられるにもかかわらず申告をしていない者に関する情報
・他人名義での取引、他人名義の口座等を利用した取引又は事実に基づかない契約書、領収書、請求書、納品書等の書類の作成、交付、作成依頼等(白紙領収書等の交付依頼等を含む。)を行っている者に関する情報
・海外で稼得した所得に係る課税を免れている者や各国の税制の違い・租税条約を利用して課税を免れている者に関する情報
・国税を滞納しているにもかかわらず、財産を隠匿している者に関する情報
・上記のような者の協力者に関する情報
3. 税務署にバレない方法はある?
最近は副業を解禁している会社も増えた影響から、メルカリ等でせどり(転売)するなどインターネットを用いてビジネスを行っている方が多くなってきています。
このようなインターネットビジネスは匿名なので無申告でもバレないと考えている方が多いですが、そんなことはありません。
「情報技術専門官」という情報処理に精通した税務調査官も存在しますので、匿名でネットビジネスを行っていたとしても無申告や所得隠しなどは必ず見つかると考えたほうがいいでしょう。
税務署は無申告を発見してもすぐに税務調査を行うのではなく、効率よく1回の税務調査で長い期間の税金を徴収するために無申告の期間が5年以上経過するタイミングで税務調査を開始することもあります。
ちょっとだけの無申告が、バレたときには数年分となってしまい、多額の納税を迫られるケースもあります。
無申告を税務調査で指摘された場合は通常の税金に加えて罰金も課税されることから、5年分の追徴金額となれば資金繰りに大きな影響を与えることは間違いないです。無申告は絶対に避けましょう。
税務署にバレない方法は「ない」です。
おわりに
無申告の理由の中には、ちゃんと申告するつもりだったが税金の計算のやり方が分からない、申告書を作成する時間がなかったなど、申告することが「できなかった」ケースもあり得ると思います。
このような場合はまず税理士に相談しましょう。
スペラビ税理士法人では、「無申告」となってしまっている方のサポートもしております。
無申告に関して、少しでも気になることがあれば、お問合せフォームよりお気軽にご連絡下さい。