「資本金払込」は、設立時に決めた資本金の金額を所定の口座へ払い込む手続です。
今回の記事では、「資本金払込」の具体的な方法と注意点を、5つのステップに分けて解説します。
※今回の記事では「発起人が1社(親会社)」を想定しております。
複数の法人が発起人となる場合や、個人が発起人となった後に法人に出資金を譲渡する場合、会社分割で子会社を設立する場合等の手続とは異なる点がありますのでご了承下さい。
目次
(STEP1) 発起人の銀行口座を用意
資本金払込にあたっては発起人、即ち、親会社の銀行口座を用意します。
何故発起人の口座かというと、資本金は「子会社設立前」に払い込む必要があるからです。
既にお気づきの方もいるかと思いますが、法人の銀行口座開設には、登記簿、即ち、会社の設立(存在)を証明できる書類が必要です。
しかし、子会社を設立しようとするタイミングでは、とうぜんですが、まだ子会社の登記が行われていないため子会社の銀行口座はないのです。
資本金を払い込む銀行口座の種別には特に制限はなく、発起人である親会社が通常使用している銀行口座を使用することができます。
また、詳細は(STEP3)で解説をしますが、インターネットバンキングのような通帳の発行がない銀行口座でも、資本金払込の銀行口座として使用することが可能です。
(STEP2) 資本金を払い込む
発起人である親会社の資本金払込先銀行口座が決定したら、次は資本金払込を実行します。
資本金の払い込みは至って簡単です。親会社の銀行口座へ資本金相当額の「預け入れ」を行うことにより、資本金払込が完了します。
ただし、資本金の払い込み日には注意が必要です。
資本金の払込日が定款認証日よりも前になっている場合、法務局での手続がスムーズに進まないことがありますので、定款認証日よりも後の日付に預け入れを実行するようにしてください。
(STEP3) 資本金払込内容を示す書類の作成
親会社の銀行口座に関しては、通帳がある場合とない場合で、用意する書類が若干異なります。
(1) 親会社の銀行口座の通帳がある場合
子会社設立の登記申請の際には、資本金払込を証明する資料を添付する必要があります。
通帳がある場合には通帳のコピーがこれに相当します。コピーが必要な箇所は以下の3つです。
- 通帳の表紙
- 通帳の表紙の裏面(支店名/支店番号/銀行印などの記載があるページ)
- 払込内容(日付・名前・金額など)が記載されているページ
(2) インターネットバンキングを利用している(通帳がない)場合
親会社がインターネットバンキング等を利用していて通帳を有していない場合、資本金の払込に際しては、ネットバンキングにログインして以下の情報が分かる画面をプリントアウトする必要があります(基本的には(1)と同様の情報)。
- 払込先金融機関名(銀行名、支店名、預金種別、口座番号)
- 口座名義人名
- 振込内容(日付・名前・金額など)が記載されているページ
(STEP4) 払込証明書を作成
資本金の払い込みを示す書類(通帳コピー、ネットバンキングの画面コピー等)を作成したら、払込証明書を作成します。
払込証明書に必要な内容は次の8つです。
- 払込があった金額の総額
- 払込があった株数
- 1株の払込金額(=払込があった金額の総額 ÷ 払込があった株数)
- 日付(資本金が振り込まれた最も遅い日以降の日付)
- 本店所在地(子会社設立時に決めたもの)
- 会社名(子会社設立時に決めたもの)
- 設立する子会社の代表取締役氏名
- 設立する子会社の代表者印(込証明書の左上に1つ、代表取締役氏名の右側に1つ)
具体的には以下のような書類を作成します。(法務局HP:株式会社設立登記申請書より引用)
フォーマットに決まりはないですが、上記の法務局HPで公開されている様式を使用することが無難です。
(STEP5) 書類をとりまとめる
STEP1~4で作成した書類を1冊の資料としてとじ込みます。
- 払込証明書:STEP4で作成したもの
- 通帳のコピー(表紙) :STEP3で作成したもの
- 通帳のコピー(表紙裏) :STEP3で作成したもの
- 通帳のコピー(振込内容が記載されているページ) :STEP3で作成したもの
なお、複数ページになる書類は、以下のように各ページの境目に子会社の代表印で押印(割印)しましょう。
これで払込証明書の作成は完了となります。その他の登記申請書類と一緒に法務局に提出することで法人登記手続は完了します。
おわりに
今回は、登記申請書類の一つである資本金払込証明書を中心に、資本金払込の方法について紹介しました。
登記申請書類は、ミスがあると法務局で受理してもらえないこともありますので、慎重に準備する必要があります。
スペラビ税理士法人では、子会社設立手続を包括的にサポートしています。
今回ご紹介した、発起人が親会社1名となるケースはもちろん、発起人が個人となるケースや複数法人となるケース、会社分割を利用するケース等、様々な方法に対応しています。どの設立方法を採用すればよいか分からない場合も歓迎です。
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