税務調査は何年分遡って調べられるのか?

税務調査の連絡が初めて入った方は、そもそも何年分調べられるのか?

と不安になる方も多いでしょう。何年分調査されるかを理解し、対策を打つことで徴収される税金が安くなる可能性もあります。

今回は、税務調査では何年分調査されるのかをご説明していきます。

 

1. 税務調査とは

税務調査とは、税務申告が正しく行われているかを確認するための調査です。

日本で納める税金は、国や地方自治体が一方的に決めて課してくるものばかりではありません。法人税や所得税などは「私の税額は●円です」と自ら申告して納めます。

税務調査では、税務署等の調査官が、法人や個人が自ら申告して納めた税金について実際の会計帳簿に基づいているかを確認しにきます。

申告年度だけではなく、過去にさかのぼって調査に入られることが税務調査の大きなポイントです。

 

2. 税務調査では過去何年分を調べられるのか?

(1) 法律に「最長」期間の定めはある(国税通則法 令和3年7月1日施行)

税務調査の手続や権限が規定されている法令は国税通則法です。

実は、税務調査で調査官が遡ることができる期間は国税通則法に明記(「最長期間」、または、「時効」と考えてよいです)されています。無制限に過去に遡られては納税者も困るので、法律でその権限を制限しているのです。

 

この法律によれば、遡れる期間は原則過去5年です。

但し、「偽りその他の不正の行為」(例えば、売上の過少申告や経費の水増し、領収書や請求書の改ざん等)をしていたと認定された場合には、過去7年遡ることができます。

また、上記に関係なく欠損金がある法人の場合は過去10年まで遡られる可能性があります。これは、欠損金の利用期間が最長10年であることによります。

 

(2) 一般論としては何年が多いのか?

巷では、税務調査の対象期間は通常過去3年と言われています。これは私たち実務家の認識としても大きな相違はありません。

 

例えば、直近の決算が2021年3月期で、その申告書を出した年に税務調査を受けた場合、一般論に従えば、対象期間は、 2019年3月期、2020年3月期、2021年3月期 となります。

 

国税庁からは、「なぜ過去3年のケースが多いのか」は述べられていませんが、まずは3年調べられ、問題があれば5年遡る可能性がある、と考えて頂ければ宜しいのではないでしょうか。

但し、悪さをしていると認定された場合は7年、欠損金を有する会社は最長10年遡られる可能性がありますのでご注意ください。

 

以上を基に税務調査で遡る期間をまとめると以下のようになります。

実務上 法律上
原則 3年 5年
過去3年分を見て問題が見つかった場合 ~5年
悪さをしていると認定された場合 ~7年 7年
法人で、欠損金がある場合 ~10年 10年

 

3. どのくらいの「頻度(周期)」で税務調査は入るのか?

(1) 法律上の定めと目安

税務調査の遡及期間とセットとで語られるのがその頻度(周期)です。

実は、頻度(周期)に関する法律上の決まりや傾向はありません

 

私たちが過去見てきた例も実に様々で、3年程度の頻度で税務調査を受けてきた

会社もあれば、前回の調査が10年以上前で誰も覚えている人がいないようなケ

ースもありました。

目安として、法人なら3年から5年程度の頻度で行われることが多いと考えて

よいかと思います。これは前述の通り、国税通則法の遡及期間(時効)が原則5

年であることが背景にあります。

 

(2) 過去に税務調査で対象となった期間も調査対象になるのか?

ところで、過去に調査対象となった期間が、今回の調査で再度調査対象となることはあるのでしょうか?以下の設例で考えてみましょう。

【設例】

前回の調査  :2018年10月に実施

前回の調査対象:過去3年分(2016年3月期、2017年3月期、2018年3月期)

今回の調査  :2021年10月に予定

 

Q 今回の税務調査(2021年3月期までを調査対象とする)で、2018年3月期以前が調査対象となり得るのか?

 

結論は、原則として調査対象にはならないが、可能性はゼロではないです。

これまで見てきたとおり、一般に税務調査で遡る期間は3年、頻度(周期)は3~5年ですので、この点から考えても、過去の税務調査で対象となった期間が再度調査される可能性は相当低いと言えます。

 

しかしながら、調査官は、法律上、原則5年・悪質なら7年遡ることができますので、今回の税務調査で新たな事実が発見され、これが問題と見做された場合には過去の税務調査で対象となった期間(上述の設例の場合には2018年3月期以前)について、再度調査される可能性があります。

 

4. 調査対象の対象と税目

税務調査は誰に対して行われるのでしょうか・そして、どんな税目に対して行われるのでしょうか?

まず、税務調査は、法人だけではなく個人も対象となります。税務調査の手続も遡られる期間も基本的には法人と個人で変わりはありません。

 

税務調査の対象となる税目は、法人税、所得税、消費税、相続税、源泉所得税、印紙税等、様々です。国税庁レポート2021によれば、調査件数が最も多かった税目は消費税で、追徴税額は法人税、消費税、所得税(申告所得税)の順となっています。

 

5. 税務調査で指摘された場合に追加で納めるお金はどの程度か?

(1) 追加本税とペナルティ(行政罰)がある

税務調査で申告内容に誤りがあったり、意図的な隠蔽や仮装と認定された取引があったりした場合、どのくらいのお金を納めなければならないのでしょうか?

 

これについては、行為ごとに目安が定められています(令和3年4月1日現在)。

項目 内容 影響額
追加本税 本来納めるべき税金額と申告納付した税額の差額 当該差額相当
過少申告加算税 ミスや見解相違などにって差が生じた場合 税務調査前に修正申告した場合はゼロ
それ以外の場合、加算税率:10~15%
無申告加算税 申告期限内に申告しなかった場合 加算税率:10~15%
重加算税 事実の隠蔽や仮装により少なく申告した場合 加算税率:35~40%
延滞税 法定納付期限までに納めなかった場合 延滞税率:2.5~8.8%

 

(2) 税務調査による影響を具体例で確かめる

税務調査の結果、本来納めるべき税金が既に申告納付していた税金よりも大きかった場合の影響を具体的に見ていきましょう。

【設例】

・A社は3年前の申告による税金を2,000万円と申告して納付していた

・今次、税務調査が入り、調査官は、A社が3年前に本来納付すべきだった税金は

5,000万円と指摘した

・さらに、調査官は、A社の3年前の税金が意図的に所得を少なくしたものだと認

定した

 

【影響額の計算】

まずは、追加本税を計算します。

こちらは、本来納付すべき税額が5,000万円、既納付額が2,000万円ですので、

5,000万円-2,000万円=3,000万円

となります。

 

次に、追加本税以外のペナルティ相当を計算します。

調査官は意図的な所得隠しと認定していますので、以下の重加算税が課されます。

3,000万円×35%=1,050万円

 

さらにこれだけに留まらず延滞税がかかります。

延滞税の計算は細かいので省略しますが、本設例では、指摘されたのは3年前の申告についてです。仮に、法定納付期限から修正申告の提出及び追加納付までに3年かかったとすると、延滞税は200万円以上になります。

 

今回の設例では、意図的な所得隠しと認定されてしまったので、本来5,000万円で済んだ税金が6,050万円+延滞税となってしまいました。

なお、この追加本税を支払えないでいると、延滞税はさらに増えていきますのでご注意ください。

 

終わりに

税務調査では、法律面、あるいは、実態面からみても、申告年度だけとなることは殆どなく、3年程度(場合によっては5年以上)は遡って調査されます。正しく申告している場合とそうでない場合とで調査官が遡る年数が変わってくるだけでなく、万一、指摘により納税額が増えると、追加本税に加えてペナルティが課されるため、影響額が大きくなることがあり得ます。

 

経験ある役職員がいない場合、税務調査に際しては、税理士と事前に対応策を練り、当日の立ち合いを依頼することが肝要です。スペラビ税理士法人では、税務調査の対応をサポートしていますので、お気軽にご相談ください。

 

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